第10章 愛執
「……もちろんビクターのナナへの歪んだ愛情が起こした事だが、引き金の一つに、お前へのビクターの腹いせという動機があった。」
「な………ん……ですか、どういう……意味ですか……?」
「あいつは、お前が惚れてるナナを無理矢理にでも自分のものにして、これまで虐げられてきたお前へ報復したかったんだろう。」
「……………っ…………!」
「それでもお前は、ナナを守ると言うのか?………笑わせる。まずは、自分の身の振り方から考え直すことだな。」
リヴァイ兵士長の言葉はどこか苦々しく、まるでリヴァイ兵士長が自分に向けて言っているようだった。
それを聞いたサッシュさんもまた、青い顔をして愕然としていた。こんな顔を、させたくなかったのに。
「………わかったら、行け。」
サッシュさんは、肩を落として私の方を振り返ると、絞り出すような声で ごめん と呟いて、足早に部屋を去っていった。
私は思わずサッシュさんを追おうと、ベッドから急いで立ち上がり、ドアを開けようとした。
が、それはリヴァイ兵士長の腕によって制止された。
「……ドアを開けられません。どいて頂けませんか。」
「……追うな。追って何を言う気だ?」
「……あなたのせいではないと、ちゃんと伝えます。」
「……やめておけ。」
私は、怒りを感じていた。