第10章 愛執
「ナナ………!大丈夫か………?」
「はい、大丈夫ですよ。……ちょっと……お見苦しい姿で恐縮ですが。」
私はへらっと笑って見せる。
気をきかせてか、アルルとリンファは部屋を出て行った。
サッシュさんは私の方へ歩み寄ると、ベッドに腰をおろす。
「………痛むか………?」
「………少しだけ。でも大丈夫です。早く訓練に戻らなくっちゃ、また体力が落ちてしまいますね。」
私が言い終える前に、サッシュさんがふわりと私を抱きしめた。
「――――――サッシュ、さん?」
「ビクターが……やったんだろ……っ………!」
「!!」
隠しておけるはずもないか………彼も訓練に出ていないのだから。あまり大事にしたくはなかったが、それは諦めるしかなさそうだった。
「どこにいる………?あいつ………っ………!」
「言えません。……それに、サッシュさんは何も被害を被ってないはずです、だから………。」
「お前の事が好きなんだよ!!!!!」
サッシュさんが、私の両肩を掴んで言った。
「お前を傷付けた奴を………俺は許せねぇ………!」
肩を掴む腕に力が入る。