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【進撃の巨人】片翼のきみと

第110章 審議




そうこうして耳を遠ざけている間に、議論は思わぬ方向へ行っていた。エレンが巨人化していた間の、僅かに意識を保てなかった時の奇行―――――ミカサに向かって攻撃をしたなどの話から、エレンとミカサの過去を蒸し返し、エレンのその表情が不安から焦燥、そして――――苛立ちと怒りへと変遷していくのがわかった。



「――――だめ、エレン……!」



エレンの苛立ちが最高潮に達して――――、エレンは叫んだ。







「――――いいから黙って全部俺に投資しろ!!!!!」






あまりの迫力に場内が静まり返り、憲兵団がエレンに銃口を向けようとしたその時、リヴァイ兵士長が柵を飛び越えてエレンに近づき、思い切りその顔を足蹴にした。

あまりの衝撃にエレンの口からは血と共に―――――折れた歯が飛んだ。





「!!!」





驚いた。リヴァイ兵士長は一度で止めるわけでもなく、無抵抗なエレンの髪を掴んでは何度も蹴り上げ、血が飛んだ。

でも不思議と―――――怖くない。

ああこれは、意図を持ってやっているんだ。ビクターさんに制裁した時のそれを思い返せば、絶対的に殺気と込める力が違う。ちらりとエルヴィン団長を見ると、止めるでもなく、ただリヴァイ兵士長のエレンへの暴行を見つめている。ハンジさんもミケさんも、ただ真剣にそれを見つめている。

間違いない。これは一つの――――作戦だ。





「―――これは持論だが。」





散々エレンを蹴り上げ、その頭を踏みつけてリヴァイ兵士長は口を開いた。





「躾に一番効くのは痛みだと思う。今お前に一番必要なのは、言葉による「教育」ではなく「教訓」だ。しゃがんでるから丁度蹴りやすいしな。」





そう言って、またエレンを蹴り上げた。あまりの凄惨さに、ナイル師団長が口を開く。





「――――まてリヴァイ……。危険だ……。」



「あ?」



「恨みを買って、こいつが巨人化したらどうする。」



「――――何言ってる。お前らはこいつを解剖するんだろ?」





リヴァイ兵士長の冷えた目線と言葉に、ナイル師団長は口を噤んだ。

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