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【進撃の巨人】片翼のきみと

第110章 審議




「待て!今度こそすべての扉は完全封鎖するのではないのか!?超大型巨人が破壊できるのは壁のうち扉の部分だけだ!そこさえ頑丈にすれば、これ以上攻められる事はないのだぞ?!そこまでして土地が欲しいのか!商会の犬どもめ!」



なんて幼稚な、なんて下らない主張だと思ったけれど、次に繋がれた言葉に私はまた怒りがこみ上げた。





「お前らはできもしない理想ばかり言って我々を破滅に陥れるだけだ!これ以上お前らの英雄ごっこには付き合ってられない!」



「――――っ!!!」





なんと言った、今。

命を賭して戦う調査兵団を、誰よりも人類のために心臓を賭して戦う私たちを侮辱した。壁の中から出たこともない人間が、知りもしない人間が。

どうやって人を食うのか、大事な仲間が引きちぎられて死ぬ様を目の当たりにしながら、それでも諦めない私たちのことを、“英雄ごっこ”と言った。

私は目の前の柵を乗り越えてその貴族らしき男を、殴り飛ばしてやりたかった。



―――――けれどその衝動は、またもリヴァイ兵士長の腕で制された。怒りで身を乗り出そうとする私をリヴァイ兵士長の左手が簡単に押さえつけた。





「――――よく喋るな豚野郎……。」



「なに……?!」



「扉を埋め固めている間に巨人が待ってくれる保証がどこにある?」



「―――――!」



「てめぇらの言う我々ってのは……てめぇらが肥えるために守ってる友達の話だろ?土地が足りずに食うのに困ってる人間はてめぇらの視界に入らねぇと?」





リヴァイ兵士長の静かな怒りに、男は口の中で言い訳らしき言葉を述べた。

怒りのあまり息を荒くしていた私は、リヴァイ兵士長の代弁によってまた少し、落ち着きを取り戻した。ふーーーーっと深呼吸をして、一言の礼と謝罪をする。





「ありがとうございます………取り乱して申し訳ありません……。」



「――――わかりゃいい。」



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