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【進撃の巨人】片翼のきみと

第10章 愛執




―――――――――――――――――――――――



「……リ……ヴァ………さ………、もう……っ……。」



不意打ちの口づけから始まり、もうどれ位経っただろう。

息が苦しいのは、唇を塞がれたからではなく、心臓のずっと奥が、何かに鷲掴みにされたような、今まで未知の感覚から来るものだった。

リヴァイさんの口元にそっと手を当てると、名残惜しそうにその唇は私から離れて、リヴァイさんは見たこともないように切なげに目を細めた。


そんな顔をしないで。



私が、あなたにとって特別だと、勘違いしてしまう。





「――――――あぁ……すまねぇ…………。」


「あ……の………、呼吸は、落ち着き……ましたので………もう大丈夫です………。」





リヴァイさんが目を少し開く。

あ、この顔は知っている。
……私が的外れな事を言った時の顔だ。



「………そいつは良かったな。」



リヴァイさんは少し拗ねたように、ベッドに腰かけたままフイっと横を向いてしまった。



「あ……りがとう……ございます………。」

「………あ?」

「………感触、消えました。もう、思い出しそうにありません。」



私は指で唇に触れ、へらっと笑って見せた。


そう、もうビクターさんの唇の感触なんて思い出せない。あなたの唇から伝わる熱と、息遣い、間近で見る伏せられた長い睫毛。


それから――――


可愛いと、何度も与えてくれた切ない言葉。
その全てが私の脳裏にハッキリと刻まれている。



「………そうか。」

「はい。」



あなたはいとも簡単に、私の事を救い上げてくれる。

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