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【進撃の巨人】片翼のきみと

第110章 審議




「話を聞いている。あの2人以外にも君の過去を知る者全てにね。」

「――――……ナナも、ですか?」

「………もちろんそうだ。」

「――――酷い事、してないでしょうね……?!あいつらにも、ナナにも………!」



ずっと不安そうにしていたくせに、ナナの話が出た途端―――――攻撃的な目をしやがる。気に食わねぇ目だ。



「――――するか馬鹿野郎。お前のオトモダチはともかく、ナナは俺達の大事な仲間だ。」

「……なら、いいです……。」

「――――これは君の持ち物だが。」

「!!」



エルヴィンが見せた小さな鍵は、エレンが紐に通して首から大事そうにぶら下げていたものだ。憲兵がエレンの身ぐるみを引っ剥がした中で押収されていた。



「それは……!」

「ああ、君の持ち物だ。後で返すよ。君の生家――――、シガンシナ区にあるイェーガー医師の家の地下室。そこに巨人の謎がある。そうだね?」

「――――はい……おそらく……父がそう言っていました。」



なんとも曖昧な解答に若干の苛立ちが募る。



「お前は記憶喪失で親父は行方知れずか……随分都合のいい話だな……。」



小さく漏らした俺の言葉に、エルヴィンがすかさず釘を刺した。



「リヴァイ…エレンが嘘をつく理由はないとの結論に至ったはずだ。」

「――――ちっ……。」



舌打ちをしつつ腕を組んで、エルヴィンの話を待つ。



「まだまだ分からないことだらけだが……今すべきことは、君の意志を聞くことだと思う。」

「――――俺の意志……ですか?」

「君の生家を調べるためにはシガンシナ区……つまりウォール・マリアの奪還が必要となる。破壊されたウォール・マリアを速やかに塞ぐには……飛躍的手段である君の“巨人の力”が必要だ。」



――――皮肉なもんだ。

巨人を淘汰するために、打ち勝つためにこれまで戦って散っていった数えきれないほどの兵士達。

それも虚しく、結局は巨人の力に頼るほかないとは。

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