第110章 審議
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エレンに会うために、エルヴィンと共に地下牢への冷たい階段を降りる。
「――――はっ、随分厳重だな。まるで死刑囚だ。」
「………危険度としては死刑囚よりも格段に上だからな。」
エレンの存在が吉と出るか凶と出るか。それはエレンがその力をどう使うつもりなのかに左右される。
ナナが大層可愛がっていたガキだと言うが―――――、果たして何が出て来るかな。
階段を降り切って重厚な扉を開くと、底には檻の中に繋がれたガキがいた。
檻を隔てて置かれた古びた椅子をぎぃ、と鳴らしてエルヴィンが腰かける。俺達を認識したエレンは、その大きな目を更に見開いて俺達を凝視した。
「………あなた方は……!」
「やぁエレン。気分はどうかな?」
「あ、はい……ずっと眠っていたようで………所々しか覚えていないのですが、今の気分は悪くは……ないです……。」
「それは良かった。――――君は3日間昏睡状態だったそうだ。その間に起きた出来事は耳に入っているのか?」
「いえ……。」
エルヴィンは手短に、トロスト区内の巨人の掃討や遺体の回収と疫病防止の策、巨人の生け捕りについて説明した。
「――――とまぁ、君がこん睡状態だった3日間に起きたことはこのくらいか……。エレン、何か質問はあるか?」
昏睡から目覚めてすぐに大量の情報を流し込まれて、状況を理解できていない様子のエレンは動揺しながら質問を投げかけた。
「ここはどこですか……?」
「見ての通りだが地下牢とだけ言っておこう。今君の身柄は憲兵団が受け持っている。ようやく我々に接触の許可が下りて、君に会いに来た。」
「これからどうなるんですか?!あと……俺と一緒にいた訓練兵は?!」
顔を青くして、仲間の事を問う。仲間を心配する程度の人間らしさは持ち合わせているらしい。