第109章 対策②
「あぁナナ、来てくれたんだね!」
「ハンジさん。ソニーとビーンはどうですか?」
「うん、今過去の実験の反復をちょうど終えたところ。目ぼしい発見はなかったかな……。」
「そうですか……。イルゼのメモにあった、意志疎通や言語を話す巨人は特別な個体だったのでしょうか……。」
「巨人化したエレンは、人語を話してた?」
「いえ、叫び声は聞きましたが……言葉は話せない様子でした。」
「そっか……。」
ハンジさんはうーん、と考えあぐねている様子だ。
「ジャックの時のような雄たけびも見られず、ですか?」
「ああ、痛覚の確認を行ってもソニーはだんまりだよ。耐えちゃう子なんだろうね。ビーンは叫び声をあげたけれど、壁外の巨人には何の影響もなかったようだった。」
「そうですか……。」
ますますあの日のジャックが異常な個体だったのだと思った。もしくは――――、ジャックもまた、エレンと同じような人が巨人を纏ったモノだったのだろうか。
「ねぇナナ、ナナから見て実験すべき項目ってなにかある?」
「そうですね……。とても辛いことですが、切断された部分の修復速度やその過程を観察・記録する、などでしょうか……。エレンはなにもないところから巨人の個体を出現させました。その原理が私の頭では到底理解できず―――――……巨人の欠損部分を修復する能力ももう少し繙いてみればなにか分かるかな、と……。」
「なるほどね!いい考えだ。彼らのエネルギーは日光から得ているとされているけれど、日光を遮断しても欠損部分が修復するのかや、日光との関係性を調べてみるのもいい。」
「はい……。」
私の浮かない返事に、ハンジさんは顔を覗き込んだ。