• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第109章 対策②




「なんの話だミケ、クソメガネ。真面目にやりやがれ。」



リヴァイ兵士長が不機嫌にため息をついた。その横で、同じくやれやれと言った表情で話半分に聞いていたエルヴィン団長がその場を仕切り直す。


「――――では、話を本題に戻すが。我々の推測では、エレンはこちら側の味方の可能性が高く、現時点で何かを隠ぺいしたり企てているとは考えにくい。よって身柄は調査兵団で引き取る方向で審議に臨む。面会の日は私とリヴァイで対応する。審議の日は幹部とナナは全員立ち会う。そこで調査兵団でのエレンの身柄預かりは必ず達成する。」



各々が理解と決意を示すように頷いた。



「だが一筋縄ではいかない。すぐにエレンの力を調査兵団で有益に行使できると証明する必要があるだろう。来月の壁外調査はさっそくエレンを連れてその力の有用性を示すことが必須になる。」

「――――荒れるな。」

「―――……それは、そうだね。」

「…………!」



こんなにも急展開で物事が動き出すなんて。私の想像が追いつかなくなっていく。

それでも幹部の皆さんはあらゆる先々のことを想定していく。

私達に仕掛けて来ている超大型や鎧を纏える敵が本当に壁内にいるのなら、エレンを壁外に連れ出してその能力を使おうとする私たちを放っておくわけがない。次の壁外調査で何か仕掛けて来る可能性が高い―――――、リヴァイ兵士長もハンジさんも、それを理解して言葉を最小限に漏らした。

ここだって、誰が聞き耳を立てているかわからない。



「――――ここから先は、シラフじゃとても話せないような苦行に満ちた想像だな。以前のように団長室で酒盛りでもしたいものだ。」

「だね、エルヴィン。」

「………同意だ。」

「了解だ。」

「はい。」



エルヴィン団長はその言葉で、私たちのすぐ身近に敵となりうる存在が潜んでいる可能性を示唆した。

次にその壁外調査の作戦を練るのは、ここではない、安全な場所で行おうというすぐにそれを理解した私たちは、各々静かに同意の言葉を口にした。


/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp