第108章 対策
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トロスト区襲撃の翌々日。
リヴァイが連れ戻した調査兵団の精鋭班によって、トロスト区内の巨人は早々に掃討、計画通り2体を生け捕りにしたと報告があった。
更にはオーウェンズ姉弟の指揮とボルツマン家の物資提供により、その翌日には遺体回収と疫病蔓延の防止処置が完了したと報告もあった。
―――――つくづくうちの幹部たちは頼もしいなと、ふっと小さな笑みがこぼれる。
王都の招集に応じたり、トロスト区近郊の対策本部に呼ばれたりと数日間多忙を極めたが、ようやく少し落ち着いたため、ようやくリヴァイやハンジ、ナナ達のいるトロスト区に戻って来られた。
「――――おかえりなさい!エルヴィン団長!!!」
私を見つけて、花の咲くような笑顔で出迎えてくれたのはナナだ。ナナもまた多忙だっただろうに、その様子は一切見せずに私に駆け寄ってくる。
「今戻った、ナナ。ご苦労だったな。」
ナナの後ろには、ロイの姿もある。
不思議と、ずっと少年だと思っていた彼が急に一端の男になったように見えた。背が伸びただけではない――――、この一件を受けて、また一つ彼も大人になったのだろう。私に気付くと、ロイもまたナナと同じく仄かな笑顔でこちらにやって来た。
「お疲れではないですか?少しは宿で休まれては……?」
ナナが心配そうに私の顔を覗き込むように見上げる。
「いや、問題ない。それよりようやくエレンと面会ができるかもしれない。」
「えっ、本当ですか……!?」
「まずは私とリヴァイだけになるかもしれないが。今身柄は憲兵団で拘束している。面会ができるように今掛け合っているところだ。」