第108章 対策
「ご心配ありがとうございます。リヴァイ兵士長、私と弟は――――大丈夫です。心配しないでください。」
「――――ならいい。」
リヴァイ兵士長はそう一言零して、私に背を向けた。
これから掃討作戦の話をエルドさんたちにするんだろう。エルヴィン団長に言われて統計を出した、討伐成績上位10名。そこで名前を見た人たちが今回、ここにいる。
これは――――リヴァイ兵士長が直接指揮する精鋭班に違いないと確信した。リヴァイ兵士長が直々に選んだ。なんて頼もしい班構成。
そこに並べない自分を小さく卑下するけれど、その嫉妬に似た気持ちも以前ほどではない。
私は―――――巨人を討伐する能力はないに等しい。
それは認める。
だから他の武器で、役に立つから。
「―――皆さんのお顔も見られて安心しました。では――――私は、これで。」
「――――ナナ。」
「はい。」
去り際にまたリヴァイ兵士長の声がかかる。
「ここから先は――――エルヴィンにとって正念場だ。」
「…………。」
「エルヴィンを頼むぞ。お前が支えろ。」
「―――――はい!」
私の心を見透かしてしまう。
私が最も欲しい言葉で、一歩踏み出す勇気をくれる。
恥じないよう、背筋をピンと伸ばして颯爽とその場を去った。