第108章 対策
「――――簡単に言うな。そこそこの数だ。クソメガネ。あとどれを捕獲するのかは早く決めろよ。うだうだしてる間に俺が全部削ぐぞ。」
「それは困る!うんそうだね、モブリット、さっそく可愛い子を選びに行こうか。モブリットはどんな子が好み?背は高い方がいい?黒髪か金髪ならどっち?細身の子か……ぽっちゃりかどっちが好き?」
「分隊長、語弊が過ぎます。」
「あはは!」
ハンジさんとモブリットさんは相変わらずの面白い会話をしながら、それぞれの仕事に向かった。
「――――おいナナ。」
「はい。」
ハンジさんとモブリットさんの背中を見送っていた私に、背後からリヴァイ兵士長の声がかかる。振り返ると、いつも通りの不機嫌そうな顔がある。
「――――ロイは来たのか。」
「はい。まだ、宿に。このあと蔓延防止策の兵士への指揮はロイに託します。」
「――――そうか。」
口には出さないけれど、今の問は―――――『ロイといて大丈夫か。』と心配しているんだろう。私がロイとのことで傷を負ったことを、知っているから。
本当にこんな時にまで、とことんうちの兵士長は面倒見が良い。
――――いやこれは、どっちかというと兵士長としてではなく――――、私を守ろうとする“リヴァイさん”の行動かな。