第104章 危局
そして5年前同様の、壁門を狙って攻撃したことで穴を開けた。シガンシナ区が壊滅したあの時も、まるでそこを狙ったように外門と内門を破壊した。
そして今回。
「―――――間違いなく、知性がある。そして――――――。」
私は確信した。
巨人にとって脅威となりうる兵団、エルヴィン団長とリヴァイ兵士長を有する調査兵団が不在のこの時を、狙ってきた。
エルヴィン団長と夜な夜な語り合った”残酷な仮説”がひたひたと、不気味な足音を立てて私たちの背後に迫って来ているようだ。
「―――――これは、戦争だ。知性を持つ者同士の――――――。」
呆然とその思考を巡らせていたその時。
それもまた―――――一瞬の出来事だった。
超大型巨人から大量の蒸気のような白い煙が噴き出したかと思うと、それが晴れた次の瞬間には―――――姿を消していた。
「…………出現をコントロール、できるの………?」
事実と、それに基づく仮説を殴り書くようにメモに記す。
心の中で何度も何度も、強くその人を呼んだ。やがてその想いの強さから、口をついて発される。
「エルヴィン……!エルヴィン、気付いて……!戻って、来てっ………!!!あなたの目で見ないといけない……!あなただから気付ける、とれる策が必ずあるから……!!!!」