第102章 空想
「――――こういったことも含めて、この世界の情報は操作されすぎてる。だから俺の父は――――おかしいと、思ったんだろうな。」
「――――立体機動を作れるなら空を飛ぶ発想だって出て来そうなものだよね。立体機動装置の開発が許されたのはなんでだろう。………巨人に挑む人類の構図が、必要だった……?そのための武器は与えないと――――……お芝居にすらならないから……?」
「ふふ……。君の考察はいつも残酷だな。そして――――面白い。」
「え……怖い?私。」
「いや?――――そそる。」
あ、キスする気だ。
そう思った時にはもう、身体の上下は反転していて、大きくて熱いその身体の下敷きになってしまっていて――――、案の定甘く甘く、溶けるようなキスをくれた。
「お、もい……。」
「ふふ………。そう言えば前にもこんなことがあったな。」
「私が初めて壁外調査に出て、帰ってきた時でしょ?エルヴィンが寝たふりして倒れ込んできて――――本当に重かったし、幼気な、しかも恋人のいる兵士にむりやり厭らしいキスをするなんて、今振り返ってみても団長としてあるまじき行為だと思いませんか?」
「なぜ敬語だ。」
エルヴィンがくくっと笑う。
「――――あの頃からもう、君のことが欲しくて欲しくて仕方なかったんだ。」
「………エルヴィンは子どもっぽいところがあるよね。妥協しないし、強欲だし、結構自分勝手。」
「そうだ。よくわかってるじゃないか。さすが俺の最愛の恋人だ。」
「リヴァイさんのほうがよっぽど大人で、自制心が強いよ。」