第102章 空想
「まずは………エレン・イェーガーとアルミン・アルレルトから話をしっかり聞き出さないとな。」
「うん、そうだね。ワーナーさんの日記は燃えてしまったけど……確かに書いてあった、イェーガー先生の名前も気になるね……。外の世界と関わりのない、ただのメモという可能性も、なくはないけど……。」
「図鑑の中でも特に開いた痕が強く残っていた、“空を飛ぶ乗り物”にも俺は実は興味がある。」
「あぁそうだったね。空を飛ぶ……鳥みたいに……。私もよく想像したなぁ、時計塔に上って街を見下ろすの。まるで鳥になったみたいで好きだった。それで………。」
「――――それでどうした?」
「………ううん。なんでもない。」
時計塔の事を思い出すと、どうやってもリヴァイさんとの思い出が蘇る。塔から落ちた日、そして四葉のクローバーを見つけた日………これは、エルヴィンには内緒。
私の胸の中だけで、こっそりと鮮やかに思い出す。
「空を飛べたら、壁を越えられるよね。」
「そうだな。巨人の脅威なんて無いに等しい。」
「なぜ、今までたくさんの兵士の命を賭して、“壁の外の巨人と闘う”選択肢しかなかったんだろう……?そこに命を懸けるくらいなら、空を飛ぶ方法を考えた方がよっぽど効率的で安全だと私は思う。」
「それはきっと俺達が、“人間が空を飛べる可能性”を知っているからだ。」
「………?」
「知識を与えなければ、人は大抵“知らない事を知らないまま”死んで行くんだよ。」
エルヴィンが遠い目をして私の頭を撫でる。