第102章 空想
「――――そうだナナ、いつもの年末の期末処理の後、ミケとハンジがたらふく酒を飲んでくだらねぇ話をする会を企ててる。エルヴィンも誘う。なにも無ければお前も来い。」
「えぇっ、嬉しいです……!みんなで飲むなんて経験もないですし……それに、ミケさんとお酒飲むの初めてです……!」
「ミケもそう言ってほくそ笑んでたな。」
「ふふっ………過酷な日ですが、頑張れそうです!」
「そうだな。」
そしてまたしばらくの沈黙が続く。
でも、私もリヴァイさんを抱き締める腕を解こうとはしないし、リヴァイさんもまた――――、私の胸に頭を預けて動かない。
決してただの上官と部下ではなく、けれど激しい恋慕でもなく、ただこうしているのが当たり前のような、ほんの少しの甘さと棘のある見えない鎖で繋がっているような感覚。
「――――ナナ。」
「――――はい。」
「――――お前は今、幸せか?」
「はい。とても。」
「そうか。――――ならいい。」
リヴァイさんの手が、私の手にそっと重なって――――
またしばらくの間、その兵服越しの体温を感じていた。