第101章 愛情
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「――――ほう、悪くねぇ。」
「でしょう?ブランデーが使われているので、リヴァイ兵士長も好きかと思って持ってきました。」
「――――ああ、好みだ。」
「ふふ。」
「何を笑う?」
「紅茶だけでなく、甘い物も好きになってくれたら――――、分け合える喜びが倍になるから、嬉しいです。どんどん持ってきます。」
リヴァイ兵士長の執務の休憩時間には、任務のために部屋を訪れる。定期的に顔を合わせることでお互いの状態がよくわかるからか、リヴァイさんも前ほどイライラしたりすることもなくなったように思う。
こんな毎日を過ごせるようになったのは、あの日リヴァイさんが私をそのままでいいと、どんな選択をしても側にいてやると、これ以上ないほどの愛情を示してくれたから。
苦しめているから、リヴァイさんの中から早くいなくならないとと焦燥していた私を、リヴァイさんの中にいていいと肯定してくれた。
こんなにも深く愛してくれる彼のことが、私も心から愛おしい。
「――――それはそうとナナ。」
「はい。」
「お前の可愛がってる次の新兵として入って来る奴らは、使えそうな奴らなのか?」
リヴァイ兵士長は、紅茶をすすりながら私を見て問う。
「はい、エレンは気性が荒いところがありますが頑張り屋さんで――――、もともと身体能力も高い子です。アルミン・アルレルトはとにかく頭の良い子で、作戦を練ったり指揮をするのに向いているでしょうし――――、ミカサは、すごいです。」
「――――ミカサ?」
「はい、わけあって一時期エレンたちとともに生活していた東洋系の女の子ですが――――、訓練兵団に勧誘に行ったときの演習で、サッシュさんも立体機動ではミカサに敵わず、リンファでもギリギリ捕まえられたくらいの、群を抜いた速さでした。」
「――――ほう。」
「――――リヴァイ兵士長と同じ、匂いがします。」
「あ?なんだお前はいつからミケになった。」
私の言葉に、リヴァイ兵士長は怪訝な顔をした。