第101章 愛情
「うわぁ……!開けていい?」
「いいよ。」
ソファに腰かけて、上機嫌で紙袋の中の箱のリボンを解く。エルヴィンも横に座って、頬杖をついて私を見ている。箱を開けると、カップケーキがいくつも入っていた。
私の好きな、ドライフルーツとブランデーがたっぷり使われているお菓子。
「………美味しそう………!すごい、可愛い………!」
「ふふ、女性はなんでも可愛いと表現するのが、俺には不思議でしょうがない。」
「そう?だって可愛いじゃない。このフルーツが沢山乗ってるところとか、この形とか……!」
興奮する私を、エルヴィンは愛しいと顔に書いたまま優しい目で見ている。
「ねぇ、これリヴァイさんにもあげていい?」
「いいよ。」
「ふふ、紅茶に合いそうだから、食べてくれるかもしれない。」
あれからエルヴィンとリヴァイさんの関係性も悪くない。
時折私がリヴァイさんと、例えば紅茶を飲んだり、眠れない日々が続いてる時には子守歌を歌いに行ったり、そんなことをエルヴィンも了承している。
――――と言うより、私に新たに『人類最強の兵士長の機嫌と体調を常に良好に保つこと』という謎の仕事が課された。その一環でこのお菓子も持って行く。
変な任務だけれど、これはエルヴィンがリヴァイさんの想いを理解してくれたからなんだと思う。
「――――俺も食べたい。」
エルヴィンが私の顔を覗き込んだ。
「もちろん、一緒に食べよう。待って、コーヒー淹れ……」
「――――違う、こっちだ。」
こうやって色気を全開にして強引に迫ってくるところは相変わらずだ。
「――ん、ふっ………はぁ………。」
舌を差し出して、ぴちゃぴちゃと絡めていると、頬が、身体が、熱を持つのがわかる。
「――――俺のシャツを着ているとこうなると――――、分かっててやってるな?」
「――――うん。」
悪戯に微笑むと、たまらない、と一言零して、エルヴィンの大きな身体が覆いかぶさって――――、束の間の甘いひと時に、2人また溶けていく。