第101章 愛情
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コツコツと足音が聞こえて、団長室の鍵が開いた音がした。
読みかけの本を置いて、エルヴィンの私室から団長室へ続く扉を開ける。ひょこっと顔を出すと、待っていたその人の姿を見つけた。
「おかえりなさい。」
「ただいま、ナナ。………また、俺のシャツを部屋着にして。」
「だって着心地がいいんだもん。―――――だめ?」
「――――駄目だ。」
「えぇ………。」
思わぬところで駄目だと言われて、少し膨れて見せる。エルヴィンはループタイをとってジャケットを脱いでから、私の方にやってきて小さくキスをする。
「――――俺のシャツを着ている君が可愛いすぎて駄目だ。このまま抱かれてもいいなら着てればいい。」
「―――ん………。」
ちゅ、ちゅ、と頬や瞼、耳と色んな場所にキスが降って来る。
「ん、あ…………あっ!!!ご褒美は??」
ふとその甘美で可愛らしいお菓子たちの事が頭を過った。エルヴィンを見上げて、ご褒美をねだる。
「…………ナナ、今いい雰囲気だったろう?」
「でもご褒美買って来てくれたでしょう?」
「――――仕方ないな。」
エルヴィンはソファに置いていた紙袋を手渡してくれた。