第101章 愛情
嫉妬に駆られてナナに凌辱まがいの仕打ちをした、二週間前のあの日の翌朝。
「――――ん………ナナ………?」
朝、いつもなら俺の腕の中ですやすやと寝息を立てるナナがいないことに気付いた。
そこにあると思った温もりがなくて、柄にもなく心臓が縮む心地がした。
それはそうだろう。
あんなことをしておいて、ナナがずっと俺に添おうと思うはずがない。
――――俺はついに、ナナを失ったんだな。
当然だ。
強姦まがいに無理矢理抱いて、挙句の果てに――――彼女の懇願をも無視して何度もその中に欲望を注ぎ込んだ。
支配しようとした。
結局俺は自分のせいで大事なものを失う愚行を繰り返すのか。
「――――は……思ったより……くる、な………。」
頭を垂れて、激情に流されて過ちを犯した自分を呪う。
ナナの心の半分を手に入れて満足すれば良かったのか。いや、これはもう俺の性だ。0か100か、その間はない極端な博打好き。ここぞというところの勝負で負けたことはないのに――――――、ナナに関しては、こうも上手く行かないものか。
窓の外は清々しいほどの光に溢れているのに、ナナが側にいないだけでそれすら、淀んで陰っていく。
それでも今日という日が明けた以上は、団長でいなくてはならない。やらなければいけないことは山積みだ。
―――――だが、正直着替えることすら億劫で、素肌にシャツを羽織って私室を出る。
扉を開けてその目に飛び込んで来た光景に、目を丸くした。