第101章 愛情
「エルヴィン団長、今日の会食に発たれるまでに目を通していただきたい資料はこちらにまとめてあります。あと、王都招集の際に提出をと仰っていた過去の奇行種に関する資料も作成してこちらに。お目通しください。」
「ああ。」
「私は午後は訓練に出ますので、会食に発たれるなら今日はすれ違いですね。なにか指示があれば机の上に残してください。」
「わかった。助かるよ。」
てきぱきとよく働く。
調査兵団の団長補佐がもうすっかり板についていて、私も大いに信頼して任せている部分が多い。
―――――君が戻って来てくれて、心の底から安堵した。
ナナ。
「―――――何か?」
視線に気付いたのか、ナナは団長宛ての手紙を開封するその手を止めて私を見た。
「―――………いや。私の補佐はよく働くな……と思ってね。」
「―――そう思うのなら、ご褒美を下さってもいいですよ?」
ふふ、と彼女は小さく口角を上げる。
「ずいぶん大人びた駆け引きをするようになったものだ。――――何が欲しい?」
「紅茶によく合う、焼き菓子がいいです。」
喜々として甘い物をねだるその顔は、まるで少女だ。
くるくると色んな顔を見せる。
そして日が落ちてその兵服を脱いで、髪を解けば―――――驚くほど妖艶な顔を見せる。
彼女は、俺の最愛の恋人だ。