第9章 欲望 ※
「……っ………リンファ………さんっ………!」
「ナナ?!」
リンファさんはすぐに駆けつけてくれた。
ビクターさんは、チッと舌打ちをした。
この光景を見たリンファさんは、すぐに理解したようだった。
怒りで、彼女の拳が震えている。
「ビクター………?あんた、何やってんだよ………?」
「………野暮だね。何って。イイコト、だよ。邪魔、すんなよ。」
血だらけの私の顔を見て、リンファさんが目を見開いた。
「殴ったのか………?」
「………僕もやられたけどね。」
ビクターさんが、横に口の中の血を吐き捨てた。
「てめぇ!!」
リンファさんの鋭い蹴りが、ビクターさんの顔面を狙う。しかし、腕で止められ、そのまま足を捻られる。
「くっ…………!」
「女が、男に勝てると思ってんの?甘くみんなよ。」
ビクターさんが更にリンファさんの足を捻ると、リンファさんはその場に倒れ込んだ。
「や、めて…………リンファさんには………なにも……しないで……!」
私は必死にビクターさんに懇願する。
「やめろナナ!こんなクズ野郎に、屈するな!!!」
「………勇ましいことだね。」
ビクターさんは立ち上がり、リンファさんの腹部を思い切り踏みつけた。
「ぐあっ………!」
「やめて…………っ!」