第100章 楔 ※
「補佐官をまた雇う余裕もないし、君のレベルにまで育てるのには途方もない時間がかかるから非効率だ。」
「………うん……?」
「――――何より君を私室で飼うなんてことを、君のことを可愛くて仕方がないうちの幹部たちが絶対に許さない――――というか、リヴァイに関しては俺も混ぜろと言ってきそうだ。結局また揉める。」
「―――……ふふ、あはは…っ……確かにそうかも、しれない。」
エルヴィンの言ったことがなんだか想像できてしまって面白くて、笑ってしまった。
「だから俺は考えたんだが―――――。」
「――――結婚するって話……?」
「――――さぁ、どうかな。」
「………?」
エルヴィンは意味ありげに、少し冷たい笑みを見せた。
「――――まだ、全く足りない。それにまだ嫉妬の余韻が消えない。――――責任を持って抱かれろ。痛くは、しないようにする。」
「――――うん………。」
大きな身体が覆いかぶさって、また情欲を掻き立てるようなキスが始まる。
――――不思議。
リヴァイさんには、彼の中に溶けてしまいたいと思うのに――――エルヴィンにはそうは思わない。
むしろ――――体が別に存在しているからこそ身体を重ねた時にその温もりを感じられる。その蒼い目の中で私の目と混ざり合うのが好き。これも、別々の身体を持っているからこそだ。
同じように、心の底から愛しているのに―――――、感じるこの違いは何なのだろう。