第100章 楔 ※
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「あっ、ぁ…っ…。ひ……、い、やっ……ぁっ……、お、く、………っ……。」
ナナを犯すように抱いたのは初めてだ。
多少興奮のあまり強くしたことはあっても、こんなにあからさまに傷付けるような抱き方をしたことはないと自負している。
痛いんじゃないか。
辛いんじゃないか。
泣きたいんじゃないか。
そう思うが、それを赦してやれるほど心中穏やかでもなかった。
泣き事の一つも言わずに、懸命に受け入れて耐えるナナにぞくりとする。
もっとひどい事をすれば、君はどんな新しい顔を見せてくれるのか。
どんな風に鳴くのか……はたまた泣くのか?
好奇心が抑えられない。
凌辱とも言えるように、床にナナの肩を押し付けていた手を離して髪を鷲掴みにして引き上げる。
その美しく輝く髪を優しく梳いたことはあれど、こんな風に乱暴に扱ったことはない。
「ん、あっ………ぁあ………。」
頭を引き上げられた瞬間にナナが俺の方を一瞬振り返った。その目には涙が溜まっていて、心が少し、痛む。
その痛みを気付かなかったことにするために、また腰を打ち付ける。
ナナの身体が応えていないのは、いつものように溢れるほどの愛液が滲んでいないことからわかる。
潤滑とは言えない抜き差しで、ナナの体内の感触をより鮮明に感じられる。
だがきっと、彼女は痛いはずだ。
細い腰を掴んで乱暴に引き寄せ、小さな入り口に自分が出入りする光景は、危険な興奮を呼び醒ます。