第100章 楔 ※
「―――――ぅ、あっ………ぁあぁっ………。」
隙間なくぎちぎちに、エルヴィンの怒りや欲望が具現化したような凶暴なそれが埋められる。
腰が砕けそうだ。
犯される、その言葉がふさわしいほどに、下半身は気付けば衣服を剥ぎ取られて――――ボタンが飛んで破れたシャツが辛うじて両腕に引っかかっているだけの状態で、壁に押し付けられて後ろから最奥を貫かれる。
痛い。
苦しい。
切ない。
ごめんなさい。
赦してなんて言えない。
感じなきゃ、気持ちよくならなきゃ。
エルヴィンが悦ぶように嬌声をあげて、この暴力的な行為を肯定できるように。
いつもの濡れた声で、愛してると――――可愛いと囁いてくれるそれはない。ただ身体を差し出して、揺さぶられる。
――――泣かない。
これは私の責任だから――――ちゃんと、エルヴィンを受け止める。
信じてもらえないかもしれないけれど、エルヴィンのことを愛しているから。
「ふ、ぁっ………、ッあ、い、っ……はぁ……っ、あぅ……っ……。」
後ろから胸を掴まれる。
握りつぶされるんじゃないかと思うくらい強く。
律動に合わせて片腕を後ろに引かれて、何度も身体の奥限界の場所を打たれる。
おかしく、なってしまう。
段々とひざに力が入らなくなり、ガクガクと揺れる。とても立っていられなくて、膝から崩れ落ちて床に伏した。膝どころか、身体に力が入らない。
それでもおかまいなしに、私の肩を床に押し付けて、腰だけを引き上げてまたそこに大きな質量が突き刺さる。
声もかけてくれず、顔を見てもくれない。
ツンと、鼻の奥と心に痛みが刺す。
泣かない、泣かない、泣くもんか。絶対に。
エルヴィンは悪くない。
この行為で水に流そうと、まだ私と懲りずに一緒に生きるために、気持ちを処理しようとしている。
ひどくして、と淫らに乞う私に応えてくれている。