第99章 陽炎
「――――アリシアが死んだのって………。」
「――――あ?」
私の嫌な予感が当たったとしたら、私はどうしたらいいんだろう。
私のせいでまた、リンファだけに飽き足らずまた、誰かを死なせたくせに私はここで―――――、エルヴィンとリヴァイさんに守られてのうのうと、幸せに生きていて赦されるはずかない。
声が、身体が震える。
「――――なんだ。アリシアは年始の休みに帰省中、事故にあったと聞いたが?」
「――――遺族はいないのに、どこに、帰省したんでしょうか……?」
「…………。」
ああ、思い出した。
アリシアに私は会ったことがある。
髪が短くて気付かなかったけど――――、シガンシナ区が陥落したあの時、トロスト区の避難所で――――、足の悪いお母さんを必死に看病していた子がいた。
その健気で一生懸命な姿に、私は声をかけたんだ。
「――――私に、似てました。アリシア……。」
「――――馬鹿言え。全く似てない。」
「背格好や髪の長さや色も――――、そっくりで………。」
「似てねぇって、言ってんだろ……。」
「――――身代わりになれる、くらい………。」
「……いい加減にしろよ、ナナ。」
リヴァイ兵士長は舌打ちをして、腕を組んで私を見上げた。