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【進撃の巨人】片翼のきみと

第99章 陽炎




「訓練兵団?そうなんだ、そしたらあれじゃない!ナナ、弟に近いと言っていた例の――――、エレンとアルミンに会えるんじゃない?」



「はい。あの子達はきっと――――、勧誘しなくても調査兵団に入る気で、いるとは思いますが。その他にも骨のありそうな子達をみかけたので、ぜひうちに来て欲しいなと。」



「――――そうか、楽しみだな。」





エルヴィン団長がふっと顔を柔らかくすると、すかさずリヴァイ兵士長が鋭い目つきで私を見た。





「おいおい、まさかナナお前壁外調査に行く気か?」



「……えっ………、はい。」



「―――1年半もブランクがあり、且つ左手指も満足にまだ動かないんだろうが。無茶にもほどがある。やめておけ。」



「訓練します、今から必死にやれば勘も取り戻せます……!」



「――――駄目だ。」



「…………。」





有無を言わさず却下されてしまった。

こういう時、いつも誰かが助け船を出してくれるのだけど――――どうやら満場一致で私は行くべきではないと、思われているようだ。





「―――ナナ、冷静に引き際を見極めるのも能力の一つだ。」





エルヴィン団長が諭すように言う。





「エルヴィンの言う通りだ。トロスト区までは出立準備などお前の仕事が山積みだ。一緒に来て――――そのエレンだか何だかに会うのもいい。だが、壁外には出さない。足を引っ張るだけだ。」



「――――………。」





言い返せない。

自分勝手な事情で1年半も離団し、帰って来てなまった身体で無理矢理調査に出て、大切な仲間を私の不甲斐なさで失うなんてことがあってはならない。

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