第9章 欲望 ※
リヴァイ兵士長が言っていたのは、こういうことだったのか。まったくお前は理解が遅いと、呆れられてしまうかもしれない。
「………思いが通じ合うことはありません。あなたのものには、なりません。」
「それは、やってみなくちゃ、わからないでしょ。」
ビクターさんは私に馬乗りになったまま、私のシャツを左右に開こうと手をかける。
いつも温和だった彼とは思えないほど乱暴で、無理やり開かれたシャツからボタンが飛んだ。
「ふふ………綺麗、綺麗だね……ナナ。」
ビクターさんの生ぬるい舌が、首筋を這う。
その感触は嫌悪と不快、恐怖でしかなかった。
「いい匂いだ………。」
私の耳の後ろに顔を埋めて呟く。
全身を、虫が這いずり回るような嫌悪感が支配する。
「やめてください……っ!」
はぁはぁとビクターさんの呼吸が荒い。
興奮しているとわかるそれが、また私の恐怖心を煽る。
「いやだ!!!やめて!!!」
私は手足をばたつかせて抵抗を試みる。
彼は兵士の中では小柄なほうだが、それでも何年も訓練してきた兵士の力に敵うはずもなかった。
「ふふ………その力ない抵抗、たまらなく可愛い………。」
ビクターさんは私の顔を押さえつけ、唇を重ねてきた。
「んぅっ………!」
顔を背けて逃れようとしても、執拗にその唇を離さない。