第9章 欲望 ※
「………それ、本気で言ってる?」
「……………本気です。」
「特にリヴァイ兵士長には、愛想を振りまいているように見えるけれど?」
「それは私だけでなく、リヴァイ兵士長までも侮辱する発言ですよ。」
「実際に、今もリヴァイ兵士長に呼び出されたと思って来たでしょ?」
「専属補佐ですので。上官の命令に従ったまでです。………まさか、こんな卑劣な人間の罠だとは想像もしていませんでしたが。」
「卑劣………ね。」
ビクターさんが、私の首に手をかけ、力を込める。
「どいつもこいつも………僕を馬鹿にしやがって………っ……!」
「……くっ………ぁ………っ!」
「力しか能のないサッシュ、あいつはいつもいつも僕の事を下に見て………っ!あいつが君に惚れているのに気づいた時は、笑ったよ。あんな偉そうにしてたくせに、掌を返したようになりやがって。」
「………かはっ………!」
「あぁごめんね、ついカッとしちゃって。」
ビクターさんは、私の首を離した。
急激に吸い込んだ酸素に驚き、うまく呼吸ができない。
「はっ………げほっ………ごほっ………!」
「………ねぇ?君をここで僕のものにしてしまえば、僕たちの思いは通じ合い、しかもサッシュの悔しがる顔も見られる。一石二鳥でしょ?」
歪んだ笑みに、背筋が凍った。