第98章 帰巣 ※
「―――そんなものより、君が欲しい。今すぐに。」
「ずいぶん性急ですね。」
「おいで、ナナ。」
首だけでエルヴィン団長の方を振り返ると、その蒼い目に欲望を強く宿している。
軽々と私を抱き上げると、私室に運び込んでまた厳重に鍵をかけた。と、同時に彼はループタイを外してそのまま床に落とし、私の髪を解いた。
いつもより少し乱暴にベッドに私を降ろすと、言葉もなく自由の翼を脱ぎ捨てて、ギシ、とベッドを軋ませる。
何も言葉を発しないまま、その距離が近づいて―――――ちゅ、と小さく唇を合わせるキスをした。
お互いが閉じたその瞼をゆっくりと開いて、蒼と紺が瞳の中で混ざり合ったその瞬間に何かの枷が外れたように、一転して獣のように食らいつき、貪るキスに変わる。
「ん、はっ…、ぁう、……ん、ふっ……。」
エルヴィンが力強く、私の肌を暴く。
ジャケットをはぎ取り、シャツが引き裂かれるんじゃないかと思うほど焦ったように開かれ、簡単にズボンのベルトもボタンも外されて―――――足から衣服を引き抜かれる。
引き抜いて露わになった腿を、柔らかいその肌を、舐められて噛まれて――――強く吸われると、歯形と鬱血した跡とがあちこちに散らされる。
「あ、は……っ……くすぐっ……た、い……っ……!」
「――――食らいたい、全部。君は俺のものだろう?」
「――――そう………食べられるために、戻って来た――――……。」
「――――そそるな、まったく……。」