第9章 欲望 ※
蝋燭が灯るその場所に近づき、辺りを見回す。が、誰もいない。
「……………?リヴァイ……兵士長……?」
その時、目の前に黒いフードを眼深く被った何者かが突如目の前に現れ、私は途端にその人物の下に組み敷かれた。
大声をあげようとしたが、口を押さえつけられ、声も出せない。
だがやられっぱなしでたまるか。私は力の限り抵抗した。
「――――――――――っっっ!!!」
「………やっと二人きりだ。」
その声は知ってる。
私は抵抗をやめて、その人物を注視する。
「ん?抵抗しないのかな。さすが、賢いよ。君を傷付けたくはないからね。」
その人物は、ニヤリと笑って、押さえつけていた私の口から手を放した。
「…………ビクターさん………………。」
「そう。リヴァイ兵士長じゃなくて、残念だった?」
ビクターさんは、にっこりと笑って私を見下ろした。
「私に、何か用でしょうか?」
「もちろん。ねぇ、ナナ。僕は君を愛しているんだ。」
「は………?」
「やだなぁ、気付いてなかった?ずっと、ずっとずっと君のこと見ていたのに。」
時折、心地の良くない視線を感じることはあった。まさか、彼だったなんて。
「こんなに僕は君のこと……愛しているのに、君は団長や兵士長、サッシュまで手玉に取って本当に悪い女だよね。」
「………今の発言は、取り消してください。エルヴィン団長、リヴァイ兵士長、サッシュさんに失礼です。私は、彼らを敬愛こそしていますが、そのような目で見ていませんし、見られてもいません。」
ビクターさんは、私の言葉を聞いて薄く笑った。