第97章 燎
「――――そうか。」
アリシアの死を報告すると、リヴァイは今までとなんら変わらない顔でただ一言零した。
「――――それだけ、かよ……。」
「あ?」
「あいつは、あんなにお前のこと――――――……。」
リヴァイを責めたいわけじゃない。
でも、浮かばれねぇだろ。
あいつは結局なにも得られなかった。命をかけたのに。
愛しい男の情けどころか、その死を悲しむことすらされないなんてあんまりだろう。
「――――珍しく感情的だな。アリシアに惚れてたのか?」
「違う、が……あまりに……ひでぇだろ……。なんであいつはあんな惨い死に方をしなきゃならなかった……?」
「―――情報屋のお前が、俺に聞くのか?」
「情報に金が必要なら払う。教えろよ、納得いかねぇ。」
仕方ねぇ、とため息をついて、リヴァイは端的にその話をした。俺も探る中で中央憲兵の――――いや、それだけじゃない。それを動かす奴らも含めて、とんだやべぇ奴がこの世の中を牛耳ってると震えた。
その所業が、まさかこんな身近に当たり前に起こるなんて。
「――――確証はないがな。まぁ奴らで間違いないと思ってる。避けられるものなら避けたかった。」
「――――避けられるものなら、って―――――――。」
リヴァイの言葉に反論しようとしたが、よくよく思い返してみる。
確かにこいつは―――――