第96章 経緯
――――これは、いわゆる失敗ってやつじゃないか。
そして、こんな簡単に人を殺せる奴らが、これだけのことを企てた奴らが、その全てを知る私を生かして解放するわけがない。
私は、殺される。
覚悟の上だったはずなのに、怖い。
「――――リヴァイ兵長、兵長………!助けて………!」
そんな声は届くはずもない。
今きっと兵長は――――――、助け出した愛しいナナさんを抱いて眠っているかもしれない。
閉じ込められた部屋で、震えながらその時を待つ。
足音が近づいて来て、扉が開いた。
「――――アリシア、お疲れさま。」
薄く笑うマントの男が怖い。なんで気付かなかったんだろう。殺すことを、なんとも思っていない人間の目だって。
「――――一旦これで終わりだ。」
「――――え………?」
「え、とはなんだ?何かあったか?」
「――――殺さないの?」
「ああまぁ、そうするのが一番手っ取り早いけど。――――アリシア、君は誰にも言わないよな?」
「―――――………。」
「―――――言ったら殺しに行く。」
「………言わ、ない……。言えない……こんな、惨めな話………。」
そう言って本当に、男と女は私を解放した。
長い一日だったな、と息を吐きながら、馬を繋いでいた場所までふらふらと歩く。
王都は初めてだった。
色んなモノに溢れていて、まるでウォール・ローゼ区域とは大違いだ。冨はここに集まっている。