第96章 経緯
―――――――――――――――――――
闇夜。
真っ暗な中庭で待つ。
ガサガサと音がしたと思ったら、男がやってきた。ナナさんがまだ王宮に来ていないことをいいことに、数名の男の相手をした。
わかっていたけど、変態ばっかりだ。
自分の娘や孫ほどの歳の女を、こんな場所でこんな風に、尊厳を踏みにじるような性処理道具として扱えるなんて―――――。
ナナさんを貶めるためにやっているのに、酷く心が乱れる。ナナさんが到着してからは少し間を置いて―――――そしてまた1人、やって来た。
良く見えないけれど、その声から初老で、偉そうな物言いから貴族やそこらの身分の男だと思った。
「――――ナナ・オーウェンズか。」
「――――はい。」
「私に会いたいと言うのは、投資の話か?君の噂は聞いてる。翼の日の企画で随分調査兵団にも資金を齎したそうじゃないか。それで、私にも金を出せと言いたいのか?」
「――――そう、出してくれたら―――――……。」
その男に近づき、その右手をとる。
豪華なレースの裾を捲し上げ、男の手を太ももに誘導して撫でさせる。そして――――わざとらしく男の耳元で吐息を漏らしてみる。
「――――ぁ……ねぇ……いい、でしょ……?好きにして、いいから―――――。」
男の喉が鳴ったのが聞こえた。
ちょろいものだ。
「――――いいだろう、だがまずは味見程度だ。買うかどうかは、具合を見てからだな。」
金持ちのくせにケチくさい男だ。即決すれば良いものを。
「――――いいよ……、味見、して。」
そこからは獣のように私の身体を舐めまわして、性急に体を貫かれた。
私は少し期待していた。
ナナさんだと思って、とはいえ――――リヴァイ兵長が、取り乱して私を助けてくれることを。