第9章 欲望 ※
こういった質問にはもう慣れたものだ。リヴァイ兵士長へ憧れる女性が多いのだろう、その言葉には、若干の敵意が織り交じっている事が多い。アウラさんの言葉も、まさにそうだった。
「言われれば、なんでもするんだ?」
「そうですね。そういう立場だと理解しています。」
「じゃ、もうとっくにヤったんでしょ。どうだった?」
「??やった、というのは何をでしょう?」
私が尋ねると、アウラさんは少し意地悪な顔で笑った。
「あははっ!純情ぶらないでよ。セックスに決まってるじゃない。」
「セックス………性交渉ですか。」
「………まぁそうとも言うわね………。」
「………アウラさんの仰った事から察すると、性交渉をしていて当然とお考えのようですが……そもそも私とリヴァイ兵士長は上官と部下であって、そういった行為をするような関係性ではありませんが。なにか誤解されているのでは?」
「………ふぅん………。そうなの………。」
「そうです。」
「リヴァイ兵士長ってさ、後ろからするセックスが好きじゃない?………あぁ、ごめん知らないんだっけ。あなたともそうなのかなって知りたかったんだけど。変な事聞いて悪かったわ。」
「…………いえ。」
私は平静を装って処置を終えると、アウラさんに一礼をしてその場を去った。私はこれまでに感じたことのない、重く苦々しい感情が沸き上がる心臓を押さえた。