第94章 寒慄
次の日、ナナが翼の日の片付けに出かけて行ってすぐ、リヴァイを部屋に呼んだ。
「――――なんだ、話って。」
「これなんだが。」
私宛の書面をリヴァイに見せると、小さく舌打ちをした。
「―――中央憲兵への出頭要請……?……これは事実か?」
「―――まぁ、そうだな。」
「あいつらがナナの監視を緩めたのは―――――。」
「そうだな、標的が私になったというわけだ。過去に処分した民間人の中から、私の父の名前でも見つけたのかな。」
はは、と小さく笑うと、またリヴァイは小さく舌打ちをした。
「笑いごとじゃねぇだろ。まぁそりゃナナを狙う方が簡単ではあるが―――――、王政に近いオーウェンズの名を背負う、ましてや離団中のナナには手が出しにくいってわけか。」
「だろうな。」
「応じるのか?」
「――――そうだな、どうしようか。とりあえず拒否してみて、相手の出方を伺おうかとは思っている。」
「それがいい。応じていきなり即監禁なんてされてみろ、お前がいなくなったら俺の仕事が増えるだろうが。」
「はは、もう少し私を心配する理由を述べて欲しいものだ。」
「――――お前を心配したことは一度もないし、これからもない。」
「――――人類最強からのその褒め言葉は心強いよ。」
リヴァイはふん、と鼻をならして脚を組んだ。