第93章 交流
「うわぁあぁあコニー!!!あそこに肉がありますよ!!肉!!!!」
「ほんとだな!!美味そうだ!!!」
「サシャ、コニーあれは兵団の厨房みたいにこっそり盗って許されるものじゃない。」
「ちょ、ちょっとみんな落ち着いてよ……恥ずかしい……!」
騒ぐ2人と冷静なミカサ、慌てるアルミンが微笑ましい。まだきょろきょろと何かを探している彼が気になって、声をかけた。
「……君は何かを探しているの?」
「――――えっ!!!うわ、キレイナオネェサン……!」
「誰か探してる?」
「あ、あの以前……オネエサンと一緒にいた、黒髪のキレイナオネェサンにまた会えたらな、って……思って……!」
少し照れながらそう言った男の子に、エレンが嫌そうな目を向けた。
「――――ジャン、お前の脳内は幸せだな。」
「ああ?!」
「ちょっとやめて2人とも。」
エレンの喧嘩っ早いところは昔から変わらない。よく生傷を負って帰って来ていた。そしてそれをすかさず止めるミカサも。
――――それよりも、このジャンという男の子が言っているのは、リンファのことだ。
「――――あのね、ジャン君。」
「は、はい!」
ジャン君は期待を込めた目で私を見た。
「――――あの黒髪が綺麗な女の子は、私の親友のリンファ。」
「――――リンファ、さん……。」
「壁外調査で、私を庇って―――――死んだ。」
「――――――……。」
「――――ごめんね。」
小さく謝ると、ジャン君は驚いた顔をした。
――――そんなにも死が身近にあるなんて、思いもしなかったのかもしれない。