• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第1章 出会




ワーナーさんとの出会いを思い返しながら朝食を食べ終えた私は、ハルが買っておいてくれた焼き菓子をいそいそとバッグに入れた。

ワーナーさん、喜ぶかな?このお菓子は、前回持って行った紅茶によく合うんだ。今日はどんな話をしてくれるだろう。あの日、私は自分の目に映る自由しか知らなかった。

だけど、ワーナーさんは教えてくれた。

あの壁の向こうにも、空は続いているって。

その空の下、壁の向こうには海っていう大きな水たまりがあるって。

外の世界には、その昔、たくさんの文化があったんだって。




私は、いつか行けるだろうか。




この鳥かごから羽ばたいて、自由の空へ。





ワクワクとしながらバッグを大事に抱えて階段を駆け降りた。その時、屋敷の扉が外から開いた。父が、予定よりも早く帰ってきた。私の心臓がドクン、と嫌な音を立てた。



「ナナか。どこへ行く?」



ああ、いつものあの眼だ。



「おかえり……なさい……お父様……。あの、私……」

「どこへ行くと、聞いている!」



ビクッと震えた私の前に、ハルがさっと割って入った。



「おかえりなさいませ、旦那様。お嬢様は今から歌のお稽古でございます。お嬢様は見目麗しいだけでなく、その歌声も天使のようで。先生もつい熱が入ってしまい、このような早朝からレッスンを。」



ハルが笑顔でついてくれる嘘。信頼しているハルの言葉を、父は信じたようだった。



「そうか。」



ホッと胸を撫で下ろした矢先、凍てつくような冷たい言葉が降ってきた。



「歌か。やはりあの女の娘だ。その見た目といい歌といい、男に媚びる才能はあるようだな。その調子でせいぜい地位のある男に嫁げるように頑張ることだな。お前には、その程度の存在価値しかないのだから。」

/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp