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【進撃の巨人】片翼のきみと

第92章 一時帰団



トロスト区に着いて馬を繋ぎ、リヴァイ兵士長の後ろをついて歩く。

とある店の前で立ち止まって、リヴァイ兵士長が扉を開けた。



「――――宝石商……?」



店に入ると、小さなお店ながら趣味の良いシンプルで宝石の美しさを生かしたアクセサリーがたくさん並んでいて、私はキョロキョロと見回した。

なぜ、宝石商に私を…………?そう思っていると、奥からふくよかな体つきの中年男性が出てきた。



「いらっしゃい……あぁ、これはリヴァイ兵士長!」

「久し振りだな。」

「ええ、なかなか来て下さらないので心配していましたよ!」



店主は嬉しそうににこにこと話ながら、チラリと私を見た。



「!!」



目を見開いて驚く顔をされたので、話がよく読めずへらっと笑顔で会釈をしてみる。



「もしかして!リヴァイ兵士長、約束を覚えてて下さったんですか?!」

「………ああ。」



興奮気味の店主に対して、リヴァイ兵士長がぶっきらぼうに返答をした。店主は興奮冷めやらぬと言った様子でカウンターからこちらに出てきて、私の手を両手でがしっと握った。



「……あぁ、本当に良くお似合いです。そのブラックダイヤモンドが。」



その一言で想像ができた。私のこのピアスをここで買って――――今度は一緒に来るとでも言ったのだろうか。もしかしたらこの陽気で気の良さそうな店主が頼んだのかもしれない。

確かに気になるだろう、人類最強が宝石を贈る相手の女性が。

察した私は、笑顔で店主に答える。



「とても素敵なピアスで心が晴れやかになりました。ありがとうございます。」

「いえ、あなたのその髪と肌に本当にお似合いだ。それにしても……そうですか、あなたが……。」

「……?」



店主がどこかうっとりとため息をつきながら、また私をじっと見つめた。



「その石の意味をご存じで?」

「いえ……石にも意味というものがあるのですね。初めて知りました。」

「そうですか!ブラックダイヤモンドには、それはそれは情熱的な……」

「おい、余計な話はいい。」



言いかけた店主を、リヴァイ兵士長が遮った。


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