第92章 一時帰団
「――――あんたと仕事するのは面白れぇ。そつもなく、隙もなく―――――当たり前のように自分に必要な動きを導き出して、完遂する。コツを教えて欲しいくらいだ。」
「―――俺よりももっと優れた奴はいる。」
「――――ああ、あの男前な団長か?ナナに相当入れ込んでるじゃねぇか。あんたも気が気じゃないだろう。」
ひひ、と茶化すように笑うジルに、鋭い目線をやって牽制する。だがこいつは変に度胸が据わっているというか、あまり効果がなくへらへらと笑いながらかわしやがる。
―――――まぁ、情報屋なんて度胸がなきゃやってらんねぇ仕事だ。それにこの度胸を買って、仕事を頼んでいる節もある。
「――――あいつとは共闘の契りを立ててるようなもんだ。あいつが最善にできることと、俺が最善にできることは棲み分けてる――――――ナナも、あいつが最善だっただけだ。」
「ナナを団長にやったのはわざとってか?!――――なぁでも、それってつまりあれだろ、結局のところナナを守るためで――――――。そんな愛し方もあるんだな。」
「うるせぇ。余計な詮索はするな。口の軽い奴は信用しない。」
「――――了解。雇い主の言うことはちゃんと聞くことにするよ。」
端から俺たちのやりとりを見ているような視線に気付いた。
俺はジルに目くばせして、帰るように促す。
「――――行け。情報はまた知らせろ。」
「はいよ!」