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【進撃の巨人】片翼のきみと

第92章 一時帰団



エルヴィンと共に王都から兵舎に戻る。久方ぶりの兵舎のドアを開けると、明るい声が飛んできた。



「―――――ナナさん!!!おかえりなさい!!!!」



花の咲くような笑顔で出迎えて出迎えてくれたのはエミリーだ。



「エミリーありがとう!そう、手紙も。寂しいけど―――――とても勇気のある、素敵な一歩だから、応援するね。この翼の日が―――――一緒にできる最後の催しだね。」

「――――はい。応援して頂けることが、すごく嬉しいです。」



エミリーは医療班の中で特に私が色々と教えてきた。

覚えるのが早く、それに努力家だ。私が貸していた医学に関する本も、ほとんど読んでしまった。

けれどいくら処置方法を学んで知識を得ても、看護師でないとできない事も多い。だからエミリーは、退団して王都の看護学校へ進学することを決めたと手紙をくれていた。

調査兵団の団長補佐としては引き止めたい気持ちが強いけれど、それ以前に一人の友人として、彼女の事を応援すると決めた。



「――――エミリーが看護師になったら、ロイどんな顔するだろうね?」

「ふふ、あまり興味無さそうな気もしますが……一応、その反応を見る日の為に頑張ろうとも、思っています。」



相変わらずエミリーはロイへの想いを持ち続けて、頬を染めて可愛い笑顔を見せた。

エミリーと話を終えて、荷物を置くために団長室へ向かう。



数日の為に私の部屋を用意してもらうのも申し訳ないと事前にエルヴィン団長に相談していて、数日間はエルヴィンの私室とハンジさんの私室に半々で泊めてもらうことになっている。

数日分の兵服や着替えを含んだ大きな荷物を持ちながら階段を上がっていると、勢いよく上階から降りて来た兵士と肩がぶつかった。



「――――あっ……。」



バランスを崩したものの、なんとか手すりに掴まって、階段を転げ落ちることはなかった。

代わりに荷物が詰まったバッグが、ゴロゴロと階段を転がり落ちていった。

その様子を、ぶつかった女の子がじっと見て、私に目をやった。にこっと笑ったので、良かった、わざとじゃなかったのかと安堵したのだけれど――――――、その子の表情は途端に冷たくなって、一言低く呟いた。

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