第91章 懺悔
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エルヴィンが俯く。
見られたくない顔も、あるんだろう。
そう思ってまた、愛しいその人を強く胸に抱くと――――――そっと私の背に手をまわして、少し鼻をすすりながら子供のように私に素直に抱かれている。
その頭を優しく撫でながら、小さく歌を歌ってみる。
心が安らぐような歌を。
「―――――いつ聞いても、君の歌は美しいな。」
「そう?嬉しい。」
「―――――君のせいで、また諦められなくなりそうだ。」
「………なにを?」
「―――――君を妻にすることを。」
「そう、なの?妻になったら何か変わるの?今も寄り添って、時間を共有して、同じ物を見て―――――あまり変わらないような気がするけど。」
「合法的に俺のものになる。」
「なんだか言い方が怖いよ……。何する気なの。」
「――――そうだな、子供を作るとか。」
「えっ、壁外調査に行けなくなるのは困る。」
「はは、それが理由なのか?君らしいが。」
「私がエルヴィンのものだって―――――、まだ信じられない?」
エルヴィンの独占欲の強さがそうさせているのか、それとも私のことをまだ信じてくれていないのか、と少し不安に思う。
「いや。俺の事を愛してくれているのは以前よりも随分実感しているよ。」
「――――じゃあ――――――。」
「ただ、俺の想いも以前よりも更に強くなっているんだ。だからその差が埋まらない。」
「??」
「狂おしいほどに愛しているんだ、君を。」
真っすぐに見つめて言われるその言葉に思わず赤面してしまう。