第91章 懺悔
「――――父と母は、俺が愛する君と生きる事を許してくれるのか……?」
「――――当たり前でしょう?あなたは両親が愛し合って生まれた子供なんだよ。きっとこの世の誰よりも、エルヴィンが幸せになることを願ってる。」
――――26年。
26年間、日に日に重くなる罪悪感を感じていないふりをしながら生きてきた。
父の仮説を証明するために生きることこそが贖罪で、その過程で死ぬのなら許してもらえるのではないかと思って生きてきた。
時が経つにつれて更に絡みつく色んなしがらみで、もはや動けなくなりそうだったのに――――――君はたった数年でそれを優しく解いて、俺が俺を赦せるように導いてくれた。
本来の俺の人生を、父と母の間に生まれたエルヴィン・スミスとして生きられるように。
君の突拍子もない言動に大笑いさせられたり
君の可愛さや美しさ、時に見せる淫靡な姿に目を奪われたり
その全てを受け止めて包み込もうとする懐の深さに驚いたり
誰かに君を盗られることが怖くなったり
君がこの世からいなくなることに怯えたり―――――
―――――すべて、君が齎したものだ。
贖罪と化していた重く辛いしがらみを、“夢” という輝きに、君が変えてくれたから。
共に叶えようと、言ってくれたから。
――――――こんな存在を、
君を、愛さずにいられるはずがない。