第91章 懺悔
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惚れ惚れするほどの宣言をしたナナは、続けて話し出した。
「――――あと、これはお母さまとお父さまに向けてになりますが―――――、エルヴィンをこの世に授けてくださって、ありがとうございます。」
「――――………。」
「愛しています、あなた方の大切な息子さんを。ふつつかな娘ですが、どうか―――――エルヴィンの側にいることを、認めてください。」
そう言って、ナナは深く頭を下げた。
―――――側にいて欲しいと願った彼女が、側にいることを願っている。
それは何事にも変え難い喜びだ。
墓地の横の小さな公園のベンチに腰掛けて、ナナと話をする。きっと驚かせてしまった。
母がまさか、精神的な病に伏しているとは思ってもいなかっただろうし、俺も話していなかった。
「――――驚かせて済まなかった、母のことは。」
「すごく驚いた。」
すぐに返ってきたその言葉にほんの少し身構える。
「私の大好きなエルヴィンのその綺麗な目は、お母さん譲りだったんだね。目元がそっくりだった!」
ナナが隣に座る俺に、眩しいほどの笑顔を向けて言った。
正直、驚いた。
「――――いや、普通そこじゃないな。」
「そう?」
「そう……だろう……。」
「だって誰にでも言いたくない事も、辛いことも、事情だって色々あるから。」
彼女はあっけらかんと言い放った。
そんな彼女だから、話したくなる。