第8章 訓練 ※
自室への帰り道、心地よくない視線を感じたが、ひとまずは気に留めないことにした。
そのまま進むと、女が一人立っていた。
「あの……リヴァイ兵士長………。」
「マリエ……リンドブルか。なんだ。」
「わ、私………調査兵団を………退団することにしました………。」
「ああ………そうか、ご苦労だったな。」
壁外調査の後、その地獄のような光景が頭から離れず、戦闘不能に陥る者は少なくない。こういった退団は、よくある理由の一つだ。俺は驚かなかった。
「はしたないと思われるのは承知で、最後にお願いがあります……!」
マリエは、意を決したように言葉を振り絞る。
「ずっとずっと、好きでした……!最後に、思い出に……抱いてください……っ!」
「…………。」
これもよくある事だ。退団する前や壁外調査の前には、こうして性行為を求めてくる女兵士が後を絶たない。
「………煩わしい関係は御免だ。俺はお前に特別な感情を抱くことはない。一度きり、何の後腐れもなく切れることが条件だ。」
俺の言葉に、傷ついたようにぐっと涙を堪えているように見えた。
「そ……れで、構いません………!」
「………来い。」
俺はマリエの腕を掴むと、備品庫に連れて行き、中に押し込んだ。