第89章 溺愛　※

「――――はははっ、好きな話って……俺の好きなところの話を、してくれているのか？」



「？？うん。えっ………。」





――――違ったのか。

そう気づいた時にはもう遅くて、恥ずかしさで顔がみるみる紅潮するのがわかった。

とても目を見られなくて俯いたけれど、エルヴィンにすごく見られているのは感じる。





「参ったな………逆効果だった。」





エルヴィンは小さく呟くと、私の顎をすくって唇を覆うようにキスをした。

逃げる気もないけれど、膝の上に抱かれて後頭部を大きな掌で包み込まれて唇を塞がれてしまえば、身動きもとれない。唇を割り入って器用に私の中を探ってくる。

その熟練されたキスはとてもいやらしくて気持ちが良すぎて、吐息と唾液の絡む音さえ彼が私を快楽の世界に誘うために使いこなしているのだと思う。



自ずと、息が弾んでしまう。





「――――ナナ知ってるか？」





唇をようやく離してくれたかと思うと、耳元で艶っぽく囁く。







「挿れて出すだけがセックスじゃない。―――――さて、他にどんな気持ちいいことがあるのか――――好奇心旺盛な君は、もう知りたくてたまらないだろう？」





「……っ………。」







情欲の火が灯ったエルヴィンの目もまた、とても好きだ。




拒否する選択肢なんて、私は持ちえない。