第89章 溺愛 ※
「ほら……ナナ。君は今俺の好きなところを言ってくれたが――――――もっともっと探そう。お互いの好きなところ。感じるところ。乱れるところ――――――。知りたいだろう?」
「――――知り、たい………。」
「――――俺も、もっと君を知りたい。」
そう言って、ちろ、と舌先で私の唇をなぞる。
欲しければ口を開いて乞えと言うように、唇から頬、耳まで悪戯に舌先でなぞっていく。
「……っん…………。」
「君の、この目が好きだよ。深い紺色に吸い込まれそうになる、意志の強い瞳が。」
そう言って瞼にキスをくれる。
「この唇も可愛い。知ってるか?不機嫌になると口先が尖るんだ。それがまた可愛い。」
エルヴィンの大きく太い親指が下唇を下げて、その口内に割り入ってくる。
「ん、む……っ……!」
「短くて小さい舌が懸命に俺に応えるのが、たまらない。ほら―――――もっと舌を絡めて舐めてごらん。」
「……は、ぁっ……ん、ぁ……。」
言われるがままに淫らに、その親指に舌を絡めて舐める。
ぴちゃ、くちゅ、と水音を鳴らして――――到底エルヴィンのキスのように上手くできないけれど、褒められたい一心で指を愛撫する。
たまらなく息が弾むのは、たったこれだけのことで私は間違いなく昂奮していたからだ。
「――――上手だ。」
エルヴィンの目に、一寸の闇が刺したような気がして、背筋がゾクリとする。
エルヴィンの左手は下着の上からやわやわと大きな手で胸の形を変える。月経の影響か、いつもより胸が張ってより敏感に感じてしまう。