第8章 訓練 ※
リヴァイ兵士長が書類に目を通していく様子を見て、私もメモに筆を走らせた。今日手当をした人の名前と、簡単なカルテを書いていく。
医務室の先生に役立ててもらえるかもしれない。兵員が常に不足している調査兵団にとって、兵員の健康管理や怪我の治癒状況の把握は重要だと思う。
私は今日手当を行った十二人の情報を書き留めた。
「………それは、なんだ?」
ふとリヴァイ兵士長が私か書き終えた資料を拾い上げた。
「今日手当をした方の名前と処置方法、状態の記録です。後で医務室の先生にも共有をしておこうかと。……もし可能なら、その各班ごとの訓練報告に怪我人の情報も記載させて頂きたいです。各班長の方が、怪我の情報を踏まえて適切に訓練の加減を見て指示ができるのでは……と思いまして。」
リヴァイ兵士長はしばらく沈黙して考えた後、私の提案を受け入れてくれた。
「……悪くない。頼めるか。」
「もちろんです!」
私は班の名簿と照らし合わせながら、事細かに記載をしていった。夢中で書き連ねているうちに、ふと私の鼻を、優しい香りがかすめた。顔を上げると、リヴァイ兵士長が紅茶を置いてくれていた。
「あっ……す、すみません……!私の仕事なのに……!」
「いい。それより、もう終わりそうか?」
「はい、あと一人分書けば……。」
「………念のためだが、紅茶はそれが終わってから飲め。」
「………?はい。」
私は残りの一人分を書き上げ、両手を上に上げて伸びをした。背中や腕、あちこちがどんよりと痛む。