第8章 訓練 ※
そこには、ハンジさんとミケさんがいて、訓練の報告をしているようだった。毎日訓練の様子や個々人の様子などを分隊長と共に確認するのか。
私は報告の様子を観察していた。
ハンジさんやミケさんの元に、各班長が報告内容をそれぞれ一枚の報告資料があがってくるようで、それをもとにハンジさんやミケさんが口頭補足をしながら報告していく。
どうやら、訓練中の負傷者は、重傷者の共有しかされないようだ。私が手当した人たちの名前は、報告されていなかった。
「………よし。ハンジ、ミケ、ご苦労だった。」
報告を終えたハンジさんとミケさんが、部屋を出る前に私に話しかけてくれた。
「やぁ~っと飯が食えるよ。あぁナナ、初訓練はどうだった?」
「はい、立体機動の訓練はとても楽しくて、あっという間でした!トレーニングと走り込みは……私には未知の世界でして、いまでも足が震えてます。」
「あはは!そりゃそうだよ!でも基礎体力がなければ、立体機動は使いこなせないからね。毎日コツコツ頑張るしかないね。」
「………筋力トレーニングなら、いつでも付き合うぞ。」
「はい!ありがとうございます、ハンジさん、ミケさん。」
「ちょっとミケ、あんたの筋力トレーニングに付き合ったら、ナナ死んじゃうから!」
ハンジさんとミケさんはケラケラと笑いながら、リヴァイ兵士長の執務室を後にした。
「……まったく、静かに退出できねぇのか、あいつらは。」
リヴァイ兵士長がため息をつきながら、手元の資料に目を通す。私はその間に紅茶を準備し、リヴァイ兵士長の机に置いた。
「……疲れてんだろう。今日はもういい、早く休め。」
「いえ、平気です!」
「……そもそも、今お前にできる仕事はない。」
「ここで見ていることは……許されませんか?」
「………好きにしろ。」