第85章 逢瀬 ※
「ん……?なに、どうした、甘えて………。そんな可愛い事を、したら……っ……激しくなってしまうぞ………?」
「――――キス、して……。」
「………いいよ。君の望むままに。」
そう言うとエルヴィンが優しく笑って、ちゅ、と小さくキスをしてくれた。
「―――足りない、そんなのじゃダメ……息が、出来なくなるくらい―――――埋めて……!私の身体も心も、全部………あなたで、満たして………?」
エルヴィンを愛しているからという理由が八割。
もう二割は―――――この一か月色々あったことを、世の中の厳しさを目の当たりにした辛さを、忘れたかった。
突き壊して――――、ぐちゃぐちゃにして欲しかったから私はエルヴィンに淫らに乞う。
きっと彼のことだ、気付いていて、応えてくれる。
「――――君がそう望むなら、俺のことしか考えられなくなるまで抱くよ。俺にとってもそれは―――――好都合だ。」
その言葉を最後に、会話らしい会話はなかった。
ただ嬌声と、
漏れ出る吐息と、
粘液の混ざる音と、
肉のぶつかる音が何度も繰り返されて――――――
涎と、
愛液と、
精液と、
涙が混じり合って―――――――――
獣が二匹淫らに戯れるようなそんな夜が、過ぎて行った。